太陽光低圧発電所についての事故報告の提出が2021年4月1日より義務化されました。低圧発電所とは10kW以上、50kW未満の発電所を指します。実質、台風や豪雨による災害後の現地確認を国の監督機関が事業者へ求めるというものです。

低圧発電所とは10kW以上、50kW未満の発電所を指します。高圧の場合は事故報告は義務化されており電気主任技術者様が主導する形で、九州産業保安監督部へ報告書の提出が必要となります。

事故報告は、事故を発見してから24時間以内に事故の概要を速報として九州産業保安監督部へ報告する義務があります。九州産業保安監督部とは、エネルギーの供給確保のために発電所において事故がなく、安定かつ効率的に⽣産・供給されていることを指導、監督する国の機関です。指導、監督とは取締りを意味しますので、九州産業保安監督部が事故報告に不備ありと判断すれば再提出が求められます。そもそも提出していなければ、発電所の運営者としての義務を果たしていないと判断され、場合によっては運転の中止を求められます。

事故報告の位置づけは「二度と同じ事故が発生しないための是正策の実施」にあります。30日以内に提出する必要がある詳細報告では、何時にどこで何が何が起きて、どのように対応したのかを時系列でまとめ、原因分析、対応策の施策まで内容を詰めなければなりません。これが発電事業者の義務になります。

電気主任技術者様はこの報告書には慎重で、一時的にかなり労力をかけてメンテナンス会社と協力して報告書を作成します。低圧の場合、事業者様から九州産業保安監督部へ報告する義務があり、台風の後の現地確認などは通常電気主任技術者様が当たり前のように行う作業ですが、事業者様が直接行うかメンテナンス会社へ指示する必要があります。
  
事故報告の中で、私も経験したよくある事故はパネルの発電所外への飛散です。電気主任技術者様がパネルが外れているのを発見し躍起になって林の中を探され、100m以上離れた場所でパネルを発見されました。事故報告とはかくも厳しいものなのかと実感しました。

ここ数年、局所的な災害はありますが台風による九州全土を覆う大きな災害が発生していないように思います。低圧の太陽光発電事業にとって台風等災害後の対処は慎重に行っていった方がよいと思います。

台風通過後にパネル飛散が放置され住民が発見した場合、工事報告の義務を果たしていないと批判の的にになりかねませんので、注意が必要です。

参考:経済産業所 事項報告について https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/detail/jikohoukokuseido.html

経済産業省 事故報告制度に関するパンフレットより