太陽光発電設備の不具合対応 監視装置の通信障害の原因

定期点検を行っている太陽光発電所で通信障害が発生

太陽光発電設備の監視画面から発電状態が見えず、通信障害または発電していない可能性があるという警報が事業者の方へ届きました。

その連絡を受けて、実際に監視画面を確認してみると確かに通信が取れておらず、監視画面で発電量が確認できない状態でした。今後の対応について検討が必要と思いましたが、経過観察を数日すると通信が復旧し今までの発電データも閲覧が可能になる状態に戻りました。

一次的な障害と思い、さらに経過観察をしていましたがやはり警報が発砲されて通信障害が発生し監視画面で発電量が確認できない状態になっていました。この状態の繰り返しが起こっていました。

確実に不具合があると考え、現地調査を実施。現地調査時点では通信状態が復旧しておりどこから確認すべきか思案の中、現地に到着しました。

通信に不具合があるのであれば、監視装置周辺を疑う

正常状態の監視装置内部の機器の外観を確認しましたが、特に違和感のある感じはしませんでした。監視メーカーへ確認を行いましたが、外観から異常を確認する事はできませんでした。

異常が出ていない状態だったので、再現性がなく監視メーカーへ尋ねることもなくなり辺りを見回していました。すると、これなんだろう?というアンテナにつながる線を見つけました。線が下にまで垂れ下がっていて、こういう線は除草作業時に傷つけやすいなと思い、結束バンドで太陽光パネルの架台に固定させ、パワーコンディショナー側の確認に移りました。

パワーコンディショナー側の目視点検を行う中で、ふとさっき固定した線が気になり改めてアンテナにつながる線の確認を行いました。

すると、アンテナの線は監視装置につながる通信線である事が分かりよく見ると細かな刃物で切ったような傷が二カ所入っている事が分かりました。しかし、傷は大きくはなく原因と言えるのか半信半疑でした。ただ、通信線への傷がどれくらい深く入っているのか中を開けてみるとかなり深く入っている事が分かり、結果的には主要な心線まで傷が入っていました。

そして、傷の確認のために中を開けたくらいのタイミングで、通信障害が発生し監視画面で発電状態が見えなくなりました。

通信障害の原因発見!しかしどうすればいい?

今回の太陽光発電所の通信障害の原因はおおむねつかみましたが、ここからどう対処すればよいかが問題でした。まずは、単純に元の状態に戻し、圧着させて固定する事で復旧するのではないかと考え、一次対応を行いました。しかし、心線が切れていることもあり単純な圧着では復旧しませんでした。

次に、線の断面をよく観察すると心線と外部導体で構成されている事が分かりました。そのため、断線部をきれいに切断し、各々で結線を行い経過観察すると通信が復旧しました。そのため、結線部に入水保護などを施して一次対応を完了する事ができました。

一次対応と復旧

今回の一次対応はあくまでの補修作業となるため、また同じような通信障害が発生するかもしれません。その都度、現場確認を行っていると手間と費用がかさんでしまいます。そのため、こういった場合はアンテナを含むパッケージの交換が根本対策となります。